同期発電機の無負荷試験・短絡試験と短絡比・同期インピーダンスの関係について解説

同期発電機の短絡比・同期インピーダンス・%インピーダンス辺りについてよく質問されるので、別立てで解説を作ってみます。

まず同期発電機の構造について確認します。

同期発電機は、回転する電磁石の周りに固定された三相コイルを巻き、電磁石を回転させることで三相交流を作り出す発電機です。回転電磁石は直流電流で励磁されます。

このような構造ですから、励磁電流によって回転電磁石が作り出す磁力の強さは調整できますし、当然出力電圧なども励磁電流と強い関係があることは容易に想像できます。

さて、ここで一相分を取り出して考えてみます。すると、励磁電流の大きさに比例した電圧を発生する単相発電機と、直列に挿入される同期インピーダンス(三相コイルの巻線に存在するリアクタンスと巻線自体の抵抗値)と表すことができます。

  • 無負荷時に定格電圧を発生させる励磁電流と出力の関係

発電機を無負荷で回転させ、励磁電流を増加させていきます。同期インピーダンスによる電圧降下が発生しないことから、この時の励磁電流から、励磁電流の大きさに比例した電圧を発生する単相発電機の比例定数を求めることができます。例えば、励磁電流が5Aの時に定格電圧200Vを発生させたのであれば、比例定数K=40です。

下図は、同期インピーダンスをZs、発電機の、励磁電流に対する発電電圧の比例定数をK、無負荷試験時の励磁電流をIoとした回路図です。

  • 短絡時に定格電流を流す励磁電流と出力の関係

次は、発電機の出力を短絡させて回転させ、励磁電流を増加させていきます。この時の発電電圧は全て同期インピーダンスに与えられるため、定格電流を流した時の発電電圧と定格負荷電流の値から、直接同期インピーダンスの値を計算することができます。発電機の発電電圧をKIs、流れる定格負荷電流をIoとした回路図を次に示します。

  • 定格運転時

以上のことを踏まえ、同期発電機が定格運転している場合を考えます。定格運転というのは、発電機の出力端子において定格電圧・定格電流となっている状態で、このときの負荷が定格負荷です。回路図を次に示します。

このとき、まず%同期インピーダンスを求めることを考えます。%同期インピーダンスとは、定格運転時における、負荷のインピーダンスに対する同期インピーダンスの割合を意味していますから、上記の回路図から求まるように負荷の両端の電圧(定格電圧)はKIo、そして同期インピーダンスの両端の電圧はKIsであることより、これらの比を求めると、

%同期インピーダンス=(短絡試験時の励磁電流)÷(無負荷試験時の励磁電流)

で求まることが証明できます。

  • 短絡比

短絡比は、定格速度・定格電圧・無負荷状態から出力を短絡した際に流れる出力電流が、定格出力電流の何倍になるか、という値です。

したがって、上記の回路において発電機の発電電圧はKIo、短絡出力電流をIshとすると、定格電流に対する比は

短絡比=(無負荷試験時の励磁電流)÷(短絡試験時の励磁電流)

と求まり、%同期インピータンスのちょうど逆数となることがわかります。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(分巻式直流発電機の負荷特性)

直流電動機(2)-b分巻式

お世話になります。機械での質問です。発電回路の場合、界磁電流が下がると、界磁電流により発生する磁界も弱くなる。そうなると、発電機に対する逆起電力が少なくなり、発電回路の電流値(電圧値)は増える。とわたしは思ったのですが、   先生は、発電機を動かし続けると電圧(電流)は落ちて行くとおっしゃってます、すいません。どうしてでしょうか、他励式を基本に考えているつもりなのですが、理解出来ませんでした。宜しくお願い致します。

おっしゃる通り、界磁回路の電圧が下がると界磁電流が下がり、発生する磁界も弱くなります。すると、発電コイルに誘起される電圧も低下する、ここまでは合っています。

分巻式の場合、そうなると界磁回路の電圧が低下するため、界磁電流がさらに低下し、磁界低下→誘起電圧低下→界磁電圧低下→界磁電流低下→磁界低下→誘起電圧低下…というサイクルになります。

このままではどんどん誘起電圧が低下してゼロになってしまうような気がしてしまいますが、発電機には負荷が接続されていることを忘れてはいけません。

発電機の発生電圧が低下すれば負荷に流れる電流も減少しますから、ある一定のところで界磁電流・誘起電圧・負荷電流が平衡した点に落ち着きます。

従って、負荷電流を増加させる(負荷抵抗を小さくする、負荷を重くする)と、それによって段々と発電電圧は落ちるものの、ある程度のところに落ち着いて運転が継続される、という特性になります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成28年 理論 問15 抵抗のΔ回路に流れる電流の計算)

電験3種理論平成28年度過去問からです。問15のB問題の解説で

  1. 電源から見ると3分の8rの抵抗が接続されてるとありますがどういう流れで3分の2rから3分の8rになったのか?
  2. rと2rの電流比は2対1というのはrに2、2rに1ということか?
  3. 8r分の3V×3分の1の3分の1はどこからでてきたのか?

以上の3点の回答お願いします!

×部分で切り離した回路を考えると、

a端子ーr-(rと2rの並列抵抗)ーr-c端子

になります。rと2rの並列抵抗は2r/3ですから、a端子とc端子の間で考えると、これにrが2個直列に追加されたものになるので、2r/3+6r/3=8r/3です。

その通りです。rと2rを並列にした場合、流れる電流は抵抗の逆比で2:1になります。(オームの法則で証明できます。I=V/Rなので、Vが一定のときIはRに反比例するため)

これは②と同じことですが、rと2rの並列抵抗に流れる電流を求めると、2:1になります。すなわち、この並列抵抗全体に流れる電流を1とすれば、rに流れる電流は2/3、2rに流れる電流は1/3になります。

端子aから回路を通って端子cに抜ける電流のうち、図中Iは「rと2rの並列抵抗のうち、2r側に流れる電流」ですから、上述のように1/3が出てきます。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成28年 理論 問5 重ね合わせの原理を適用した回路)

H28理論過去問の問5についてですが、重ね合わせの原理を用いた回答をお教え下さい。よろしくお願い致します。

重ね合わせの原理は、「回路中の複数の電源について、1つを残して他の電圧源は短絡、電流源は解放して各部の電圧・電流を求め、それを電源の個数分だけ繰り返して重ね合わせる」という理論です。

従って、9Vの電池のうち3個を短絡して1個を残した回路が重ね合わせの原理を使った回路になります。

この回路は、9Vの電池から見ると、0.1Ωと、その次に(3個の0.1Ωと0.5Ω、合計4個の抵抗の並列)が入った回路になります。回路全体の抵抗値は0.13125Ωで9Vの電池から流れる電流は68.6Aとなりますから、0.5Ωに流れる電流は4.3Aとなり、電池が4個あるのでこれを4回重ね合わせて0.5Ωに流れる電流を求めると17.1Aです。これより電力を求めると、確かに147Wとなり、正解と一致します。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(電験3種 平成27年 理論 問17 インピーダンスの計算)

過去問124ページ 理論 問17 の(a)問題で、【負荷抵抗=5+j5】が、5√2になるまでの計算過程がいまいち分からないので、教えて下さい。

私は過去問の冊子を持っていないため間違っていたら申し訳ないのですが、内容からして平成27年の問17かと思います。

RL直列回路のインピーダンスは、(RL直列素子に掛かる電圧)÷(RL直列素子に流れる電流)で求められます。

ここで、直列ですから電流はいかなる場合でも同じですので、ある電流が流れた場合のRL直列の電圧に注目することになります。

すると、5Ωの抵抗は電流を全く同じ位相でその電流の5倍の電圧を発生させることになります(オームの法則より、V=RIなので)。

コイルは、電流に対して電圧が90°進んで発生し、リアクタンスが5Ωですから、電流の5倍の電圧を発生させることになります。

従って、互いに位相差が90°である電圧を合成することになるので、三平方の定理からV^2=5^2+5^2で求められることになり、

√50=√(5×5×2)=5√2

が求まることになります。

SAT電験3種講座 理論 質問回答(オペアンプを用いた反転増幅回路の動作)

電験 理論44 テキスト134ページ オペアンプの講義についての質問です。添付写真で抵抗R1の電圧は3Vとのことですが、どうしてそうなるのか理解できません。ご教示願います。

オペアンプの動作は、

  • +入力端子の電圧>-入力端子の電圧の場合…出力電圧は上昇する
  • +入力端子の電圧<-入力端子の電圧の場合…出力電圧は下降する
  • +入力端子の電圧=-入力端子の電圧の場合…出力電圧の変動は止まる

であることはご理解いただいていると思いますので、それを念頭に置きます。

まず、この回路で、入力端子の電圧=-入力端子の電圧=+入力端子の電圧=出力端子の電圧=0Vという初期状態であるとします。これは上記のオペアンプの動作条件を満たしていますから、この状態で安定しています。

ここで、入力端子に3Vを与えたとします。すると、入力から電流がR1→R2→出力端子という順に流れていきます。

このとき、-入力端子の電圧は当然0Vよりも上昇しますから、出力端子の電圧は下降を始めます。では、どの段階で出力端子の電圧変動が止まるかというと、オペアンプの-入力端子の電圧が0Vになった時点で止まることになります。

このように、オペアンプの+入力端子が接地されて0Vとなっている以上、入力Eiにどんな電圧が与えられようとも、オペアンプの-入力端子が常に0Vを維持するようにオペアンプは動作することになりますから、結果的にR1の両端には常に入力電圧Eiが掛かることになります。(というか、そうなるように構成した回路が反転増幅回路といわれているわけです)

猫電テキストp34ベクトル図の誤り

猫電テキストp34について質問です。

DVDの説明のテキストと頂いたテキストの図が異なっています。正誤表がありますが、正誤表の記述も曖昧で、DVDが間違っているのか、頂いたテキストが間違っているのか分かりずらいです。DVDの説明でコイルの式、jV/I であるから、+Jになるからコイルとコンデンサがひっくり返っているという説明がよくわかりません。一番混乱しやすいところで、テキストが間違っているし、説明は曖昧だし、詳細な説明をよろしくお願いいたします。

34ページの図につきましては、御指摘の通り、テキストの方が誤っています。上下ひっくり返した図が正しいものとなります。

改めてこの辺りを整理しますと、次のようになります。

 

  • コイル…両端に与えられた電圧の波形に対して、電流が90°遅れて流れる。ベクトル図で、虚数のjは時間的に90°進んでいることを表す記号なので、電流は-jと表される。(コイル両端の電圧)÷(コイルに流れる電流)を求めると、分母が-jであるため、求められたリアクタンスは+jが付くことになる。つまり、インピーダンスを表すベクトル図では、+90°方向となる。

 

  • コンデンサ…流れ込んだ電流の波形に対して、両端の電圧の波形が90°遅れて発生する。つまり、両端の電圧の波形に対して、電流の波形は90°進むことになる。したがって、ベクトル図では、電流が+jと表される。

(コンデンサ両端の電圧)÷(コンデンサに流れる電流)を求めると、分母が+jであるため、求められたリアクタンスは-jが付くことになる。つまり、インピーダンスを表すベクトル図では、-90°方向となる。

 

以上のことより、P.34の図は上下が反対になっていることが分かります。

ご迷惑をお掛けしており申し訳ありません。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(電験3種 平成27年 機械 問14 過去問解説 真理値表から論理式を求める問題の解き方)

機械 平成二十七年の 問14なのですが講座では 選択肢の法から照らし合わせよ との説明をうけ そのとおりやっていますが 何回かやりましたがそれでも膨大な時間がかかります たとえ全く同じ問題がでたとしても ありえないのはわかっておりますが  他の問題をといてこの問題もやっていく というのは私には 無理です もう一歩踏み込んだ こういう問題を解くコツというか方法はないでしょうか

では、この問題について目の付け方を出来るだけ詳しく書きたいと思います。

まず、回答選択肢を吟味すると、どれも初項はAとBの積です。次の項はAとCもしくはAとDの積、そして三項目はそれぞれの選択肢毎に別々となっています。また、どれも回答選択肢は加法標準形(一項目+二項目+三項目…という足し算の形)になっています。

加法標準形の式を吟味する場合、

  • 一項目・二項目・三項目のどれかが1であれば式全体が1
  • 一項目・二項目・三項目の全てが0であれば式全体が0

という条件を上手に使って回答を導き出すのがセオリーです。

ここで、「一項目・二項目・三項目のどれかが1であれば式全体が1」の条件を使います。選択肢の三項目に注目します。

(1)(4)はB・C・Dなので、B=C=D=1のとき式全体は1です。これは真理値表の上から8番目を満たさないので脱落です。

(2)(3)はA・B・Cなので、A=B=C=1のとき式全体は1です。これは真理値表を満たします。

(5)はA・B・Dなので、A=B=D=1のとき式全体は1です。これは真理値表を満たさないので脱落です。

次に、二項目に注目します。

(2)(3)は¬A・¬Dですから、A=D=0のとき式全体は1です。これは真理値表を満たします。

その次は、一項目に注目します。

(3)は¬A・¬Bですから、A=B=0のとき式全体は1です。これは真理値表を満たします。

(2)は¬A・Bですから、A=0、B=1のとき式全体は1です。これは真理値表の上から6番目と8番目を満たさないので脱落です。

 

上記は加法標準形の場合ですが、例えば(A+B)・(A+C)・(D+E+F)のように各項の積の形で表現される乗法標準形もあります。

乗法標準形の場合は、どの項(カッコで囲まれている式)も全て1の場合に式全体が1となる、という点に注目して、どの条件の場合に式全体が1となるか、という場合分けをして追い込んでいくことになります。

参考になりましたでしょうか。

SAT電験3種講座 機械 質問回答(誘導電動機の性質と力率・効率)

カゴ型誘導電動機についてご質問があります。

始動時の力率は悪いものの、定格運転時の損失が小さく高効率と記載してありますが、これは定格運転時は力率がいいという意味でよろしいでしょうか?その意味で合ってれば、定格運転時も二次抵抗は低いままなので力率は悪いままのように思えます。なぜ力率が良くなるのでしょうか?定格運転時の損失が小さく、高効率は力率のことを言ってないということでしたら、力率はやはり悪いままなのでしょうか?

お書き頂いた通り、かご型誘導電動機は始動時は大変力率が悪いですが、定格運転時は力率が良くなります。

但し、同期電動機のように力率=1.0にはなりませんから、通常、並列にコンデンサを入れて力率補償しながら運転します。

二次抵抗との関係ですが、これは二次抵抗の値自体はさほど変化しなくても、回転上昇によって一次側と二次側の結合が変化していくことを考慮することでイメージが付くかと思います。

始動時は滑りが1ですから、二次側(回転コイル)に発生する電圧は電源周波数と同じになり、コイルに誘起される電圧は、ファラデーの電磁誘導則によりコイルを貫く磁束の時間変化、すなわち周波数に比例することから、二次側には高い電圧が発生することになり、ここに低抵抗が負荷抵抗として挿入されていることから効率が悪くなります。(高電圧・小電流の回路に小抵抗を入れても消費電力は小さい。無駄に流れる電流は無効電流となって電源側に現れ、力率は悪くなる)

回転が上がってくると、例えば滑りが0.1であれば二次側の周波数は電源の1/10になります。こちらも電磁誘導則から、二次側に発生する電圧は小さくなる分、大電流が流れることになります。低電圧・大電流の回路に負荷抵抗を挿入することになるので、回転開始時に比べると大きなエネルギーを消費できることになり、高効率で運転できるようになります。

以上のようなイメージを持っていただければ、動作がイメージできるのではないでしょうか。

なお、低効率というと、力率が悪くて流れる電流が多いわりに取り出せる力が小さい場合と、抵抗分などで熱になる無駄な電力が多くて取り出せる力が小さい場合の両方を指すことができますが、誘導電動機では後者のような熱損失要因はほとんど無いため、前者の意味で言葉を使っているとお考えいただいて結構です。